ガイアの夜明け 活況!ふるさと納税 その先に…

テレビ東京 ガイアの夜明け

活況!ふるさと納税 その先に…

「ふるさと納税」が活況だ。昨年度の利用者は全国で約890万人超。寄付総額は1兆円に迫る勢いで、いずれも過去最多を記録した。各自治体とも魅力的な返礼品をそろえ、全国から寄付を呼び込もうと躍起になっている。その一方で問題になっているのが、行き過ぎた返礼品競争だ。総務省は本来の目的から逸脱しているとしてルールを厳格化。ただ、ふるさと納税に頼らなければ、住民サービスを継続できない地方の切実な事情も…制度開始から15年、熱狂するふるさと納税の現場と、その先を見据えた自治体の戦略を追う。

返礼品は600種類!人気自治体が見据える「ふるさと納税」の先…

茨城県・境町。8年連続で県内1位、6年連続で関東圏1位のふるさと納税寄付額を誇る。人気の返礼品は、茨城県産のコメ20kgや霜降りの常陸牛、国産うなぎ3尾など。3万発を打ち上げる国内最大級の花大会の特等席チケットもある。およそ600種類もの充実した返礼品が人気を呼び、昨年度の寄付金総額は約60億円を記録した。特徴的なのが寄付金の使い道だ。町内を無料で回る自動運転バス。運行費用はふるさと納税の寄付金でまかなっている。他にも、国際大会にも対応できる施設の建設などにも寄付金が活用されており、町の魅力が向上するにつれて移住者もどんどん増えている。境町のふるさと納税戦略の仕掛け人が、さかいまちづくり公社の野口富太郎さん。第三セクターの社長として、ふるさと納税返礼品の開発や寄付金の活用を一手に担う。しかし、野口さんの目的は売れる返礼品を作ることだけではない。見据えるのは「ポストふるさと納税時代」だ。ふるさと納税制度がいつか終わりを迎えたとしても町の財政状況が悪くならないよう、潤沢な寄付金が入るうちに町が稼げる基盤を整えることこそが、本当の目的だ。その仕組みとは…。

ふるさと納税から除外された町…住民サービス維持へリベンジ!

宮崎県・都農町。宮崎牛のステーキや、国産うなぎのかば焼きなどの返礼品が人気の自治体だ。かつては財政破綻寸前だったが、ふるさと納税参加で税収は大幅にアップ。2021年度には100億円を突破し、寄付額で全国第6位に躍り出た。町は、集まった寄付で存続が危ぶまれていた町立病院を立て直したほか、保育料や学校給食の完全無料化、中学3年生までの医療費無料化など、子育て支援策を充実させることができた。転機は2022年1月。ふるさと納税の返礼品ルールから逸脱したとして、総務省に制度からの除外を通告されたのだ。人気返礼品の宮崎牛に寄付が殺到し、足りなくなった分を都農町が高額の牛肉を買い集め補ったことがルール違反となった。税収は40%以上減少。町は財政をぎりぎりまで切り詰めると同時に、積み立ててあった100億円の基金を切り崩すことで、町立病院や子育て支援策を維持した。しかし、今後も町の財政を維持し、住民サービスを継続していくためには、ふるさと納税に復帰する以外の道はない。都農町の巻き返しが始まった。

担当ディレクター:

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